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2009年11月19日 (木)

幕末維新期の土佐に関する書籍など

昨年から生活環境が一変したことによって、なかなかゆっくりブログに向かう時間が確保できないため、かなり久々の更新となります。

実は今年の9月に高知旅行をしまして、高知城を訪れたり、坂本龍馬記念館に行ったり、「間崎滄浪先生宅址」などの碑を見て回ったり、かなり満喫できた旅でした。そんな旅行をしたことや、来年の大河ドラマが『龍馬伝』であるということもありまして、最近は幕末の土佐に関する書籍や高知出身者とその周辺人物に関する書籍を購入する機会が、新刊・古書を問わず増えています。今回は、そのような書籍の中から、最近入手したものをいくつか紹介してみたいと思います。

まずは、佐藤寿良『続 ある海援隊士の生涯‐白峰駿馬伝‐』(1998年)。白峰駿馬は幕末の長岡藩出身で、勝海舟の弟子を経て坂本龍馬の海援隊に参加した人物。佐藤氏の著書は、そんな白峰の生涯を記した伝記です。坂本龍馬については数多くの研究がありますが、それ以外の海援隊出身者をメインに扱った研究は少なく、白峰も例外ではありません。佐藤氏の著書のほかには、皆川真理子氏の論文「史料から白峯駿馬と近藤長次郎を探る‐関東例会を終えて‐」(『土佐史談』240号、2009年)が、白峰駿馬を主題にした最近の代表的な研究成果だと思われます。佐藤氏にはほかに、『ある海援隊士の生涯‐菅野覚兵衛伝‐』という著作もありますが、私は所持しておりません。

続いて、高知市立自由民権記念館が発行した、『板垣退助展‐板垣死すとも自由は死せず。‐』(1994年)という図録。これは、自由民権記念館の開館5周年を記念する特別展の解説図録で、かなり力の入った内容になっています。自由民権期以降の板垣だけではなく、それ以前の幕末期における板垣の活躍や、少年期の逸話なども詳しく紹介していて、板垣の生涯を知ることができます。

同じく高知市立自由民権記念館が発行した図録、『谷干城のみた明治』(1997年)も、板垣の図録ほど力が込められたものではないものの、楽しめるものでした。一般的には軍人として有名な谷の、「政治家」としての重要性を紹介しています。

続いては、嶋岡晨『明治の人‐反骨・谷干城‐』(学芸書林、1981年)。この書籍は、『土佐史談』210号(1999年)に掲載されている、真辺将之「谷干城研究の現状と課題」で紹介されているのを読んだことがきっかけで興味を持ち、入手してみたものです。嶋岡氏の著書そのものはまだ読んでいないのですが、真辺氏の論文によれば、嶋岡氏の著書はそれまでの谷干城の研究史においては注目されてこなかった書籍ですが、「日露戦争に際しての谷の非戦論を初めて本格的に取り上げた功績」があり、「谷の人間像をいきいきとあらわしている」力作とのことです。

高知県安芸郡北川村にある中岡慎太郎記念館が発行した『迅衝隊出陣展』(2003年)は、中岡慎太郎記念館が6年前に開催した特別展の図録です。迅衝隊は、慶応四年に土佐藩が編成したもので、戊辰戦争において土佐藩の主力部隊となったものです。迅衝隊には板垣退助や谷干城、片岡健吉などが参加しています。ちなみに、図録を執筆しているのは、中岡慎太郎館の学芸員で、中岡に関する論文を色々と発表している豊田満広氏です。

次は、山内容堂に関するものを3つほど。まずは土佐山内家宝物資料館が発行している、『箱根旅行絵巻‐鯨海酔侯最後の旅‐』(2007年)という図録から。山内容堂は晩年の明治四年に箱根旅行をしていますが、そのときに容堂に同行した絵師である荒木寛一・寛畝が描いたのが「箱根旅行絵巻」。その絵巻の解題と、さらに容堂が残した紀行漢詩集「函嶺遊記」も収録して、一冊の図録となっています。

ちなみに余談ながら、土佐山内家宝物資料館は個人的にかなり気に入った資料館で、大変面白かったです。最近、この資料館から見つかった武市瑞山の書状の内容が、ニュースになっていましたね。また、この資料館のマスコットキャラクターである「やまぴょん(本名:山内兎之進)」は、可愛いのでお気に入りです。

そして、吉村淑甫『鯨海酔侯 山内容堂』(中公文庫、2000年)をようやく最近買ったのですが、上記の容堂の箱根旅行に同行した愛妾お愛の生涯を、詳しく紹介しています。

さらに山内容堂に関するものとして、平尾道雄『容堂公記伝』(大日本出版社峯文荘、1943年)も入手してみました。平尾道雄氏は生前、幕末維新期の土佐や坂本龍馬に関する研究の第一人者として有名だった研究者。その平尾氏には、『山内容堂』(芳川弘文館、1961年)という著作もありますが、それより20年近く前に刊行された容堂の伝記です。

平尾道雄『歴史の森』(高知市民図書館、1976年)は、平尾氏自身の言葉を引用すれば、「歴史学を志して数十年、自己の歩んだ足跡を記憶をたどりながらまとめたもの」で、「自叙伝的な随想録ともみるべきもの」です。平尾氏がどのように坂本龍馬や土佐藩の研究に取り組んでいたのか知ることができるような面白い内容もありますし、歴史を考える上で傾聴すべき意見も書かれています。

今は大河ドラマに向けて様々な龍馬関連書籍が刊行されていますが、最近目について購入したのは、いずれも新人物往来社による次の2冊。松岡司『異聞・珍聞 龍馬伝』、『別冊歴史読本47 坂本龍馬伝』

松岡司氏は『定本 坂本龍馬伝』(新人物往来社、2003年)や、『中岡慎太郎伝』(新人物往来社、1999年)、『武市半平太伝』(新人物往来社、1997年)の著者。『定本 坂本龍馬伝』は、2008年に刊行された松浦玲氏の『坂本龍馬』(岩波新書)の中で、「いまのところ最も詳細な龍馬伝」と紹介されたほどの内容を誇る龍馬伝でしたが、それほどの書籍でも論じきれなかった論点や、その後新たに判明した事実などを踏まえて書かれたのが、『異聞・珍聞 龍馬伝』です。文体がかなり一般向けを意識したものになっていて、それについては賛否両論ありそうですが、内容はしっかりしています。

『別冊歴史読本47 坂本龍馬伝』には色々な方が寄稿していますが、特に面白かったのは桐野作人氏の、「薩長同盟」・「船中八策と大政奉還」・「新官制擬定書」という三大争点について検証した部分。私も以前にこのブログで取り上げたことのあるテーマですが、私が以前に述べた意見とも共通する意見が多く、共感するところ大。しかも非常に説得的で、納得できる内容でした。龍馬に興味を持つすべての人に、一読を薦めたい内容です。

そのほか『別冊歴史読本47 坂本龍馬伝』に収録されていたものでは、町田明広「坂本龍馬の対外認識」や、宮川禎一「解読!龍馬の手紙」が面白かったです。宮川氏の文章については、宮川氏自身も参考文献に挙げていますが、宮川氏の著書『龍馬を読む愉しさ‐再発見の手紙が語ること‐』(臨川書店、2001年)と、宮川氏の論文「龍馬書簡・再考‐春猪あての不思議な手紙‐」(『歴史読本』2009年3月号)を併読すると、さらに理解が深まると思います。

とりあえず、今回はここまで。今後刊行されることが決まっているものとしては、マツノ書店が2010年1月に復刻する『中岡慎太郎先生』に期待しています。最も初期の中岡慎太郎伝ですが、復刻されるのは初めてだそうです。

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