共同研究 明治維新
だいぶ古い本ですが、思想の科学研究会編『共同研究 明治維新』(徳間書店、1967年)という、論文集があります。
この論文集の特徴としては、執筆陣が、日本史や明治維新の研究を専業としている人々ではないこと。例えば、執筆に参加している人々は、専門が哲学の研究者であったり、中国文学の研究者であったり、評論家だったりジャーナリストだったりと、様々な分野で活躍している人々です。
そのような、様々な分野で活躍している人々の「共同研究」という形で生まれた論文集の意義の1つとして、執筆者の1人である市井三郎氏は、序文において、次のように述べています。
そもそも学問は、異なった諸意見の活発なぶつけあいと、理性的な相互批判によってのみ前進するものだが、価値と事実判断とがわかち難くむすびつく歴史という分野では、そのような交流がもっとも困難であることはよく知られている。われわれは市民サークルであることの非拘束性を活用して、学界では望み難い度合にまで、この交流を実現することに努力しえた。
専門の研究者が参加していない論文集だけに、面白いテーマの論文も収録されているのが、個人的に楽しいところでもあります。以下、執筆者と収録論文を緑の文字で記します。
●中沢護人「二宮尊徳論―国内市場の開発」
●布川清司「農民の意識と行動―幕末・先進地域・一旗本領農民の場合」
●市井三郎「維新変革の思想―長州尊攘派の思想的系譜」
●林竹二「幕政改革と『共和』政治運動―横井小楠の『共和』政治思想とその展開」
●西春彦「生麦事件と維新の国際関係」
●葦津珍彦「禁門の変前後」
●浅井昭治「足利将軍木像梟首事件」
●しまね・きよし「幕末・維新における幕臣―川路聖謨・勝海舟を主軸にして」
●筑波常治「島津久光論―革命における旧支配層開明派の役割」
●佃實夫「維新の傍流―阿波藩の場合」
●判沢弘「宮島誠一郎と雲井竜雄―米沢藩の場合」
●久米茂「江藤新平論―佐賀藩の場合」
●大江満雄「浦上キリシタン農民の論争性―維新政府の象徴押しつけにたいする抵抗について」
●鶴見俊輔「明治天皇伝説」
●竹内好「明治維新と中国革命―孫文について」
『共同研究 明治維新』は何しろ40年以上前に刊行されたものなので、上記の収録論文のうち、それぞれの執筆者の著作集などに再録されている論文もあります。
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