紹介しておきたかった幕末維新史関連書籍5冊
非常に久々の更新となってしまいましたが、そんなことはまるでお構いなく、記事を書きます。
今回は、昨年から今年にかけて刊行された書籍で、なおかつ自分でもすでに購入済みの書籍のうち、幕末維新史に関係するものを5冊紹介しておこうと思います。長らく更新していなかったために、そのうち紹介しようと思っていながら、紹介できなかった書籍たちのうちの5冊です。
まずは、小高旭之『幕末維新埼玉人物列伝』(さきたま出版会、2008年)。
この書籍は、8ページの凡例を引用すると、「幕末から明治にかけての時代に足跡を残した埼玉県出身の人物を、関連する事象などを交えながら人物ごとに解説した」書籍と言えます。今では埼玉県と呼ばれている地域に生まれた幕末維新期の人物たち47人について、紹介しています。
紹介されている人物は例えば、明治の実業家として知られる渋沢栄一、彰義隊を援助した覚王院義観、浪士組に参加して上洛した根岸友山、江戸の薩摩藩邸に匿われていた浪士たちの一員である権田直助や桜国輔など、多岐にわたっています。有名な人物だけではなく、あまり有名とは言えない人物も数多く紹介していますので、いわゆる草莽の志士に興味がある方なら楽しめると思います。
著者の小高旭之氏には他に、『漂白の志士 北有馬太郎の生涯』(文芸社、2001年)や『埼玉の浪士たち 「浪士組」始末記』(埼玉新聞社、2004年)といった著書があります。
続いて紹介するのは、中村武生『京都の江戸時代をあるく‐秀吉の城から龍馬の寺田屋伝説まで‐』(文理閣、2008年)。
「京都の歴史と文化財保護問題」というHPがある歴史地理研究者である著者の、3冊目の著書。2006年から2007年にかけて、『京都民報』で連載していた記事を修正・加筆したものです。
全部で50話構成となっていて、副題にもるように、幕末期だけではなく江戸時代全般について扱った内容ですが、全50話のうち半分ほどは、幕末期の話題となっています。
なかでも注目なのは、46話~59話まで費やして語られる「寺田屋伝説の虚実」。坂本龍馬の定宿として有名な寺田屋について論じたもの。現在の寺田屋の建物は、幕末当時の建物ではなく、再建されたものであるという説を提唱し、なおかつ深く論じたもの。現在の寺田屋が幕末当時の建物ではないということは、幕末史に興味のある人には元々それなりに知られていた話ではありますが、中村氏の文章はその話をさらに深く語り、説得力ある内容になっています。
3冊目は、松浦玲『坂本龍馬』(岩波新書、2008年)。
坂本龍馬という人物は、司馬遼太郎の小説『竜馬がゆく』の影響もあって、幕末維新期に活躍した人物たちの中でも特に人気が高く、知名度もある人物だということに異論はないでしょう。そんな坂本龍馬をメインに扱った書籍も数え切れないぐらい刊行されています。
ところが、数え切れないぐらいぐらい刊行されている龍馬関連書籍は玉石混交。薄っぺらい内容のものも少なくありません。しかしながら、松浦玲氏は横井小楠や勝海舟の研究者として名高い幕末研究者ですので、この本は龍馬の生涯を手堅くコンパクトに、しかも最新の研究成果を取り入れつつ、非常に安心できる内容に仕上げています。
龍馬の実像を知りたい人や、2010年の大河ドラマ『龍馬伝』に向けて龍馬本を読んでおこうという方に、まずオススメしたい1冊です。著者の松浦氏には『検証・龍馬伝説』(論創社、2001年)という著書もありますので、そちらもオススメです。
続いては、町田明広『島津久光=幕末政治の焦点』(講談社選書メチエ、2009年)。
この書籍のタイトルにある、島津久光を「幕末政治の焦点」とする視点に、私は非常に共感します。著者の町田氏は本書の冒頭で、「本書で論じたいのは、久光の梃子的活躍なくして、幕末は決して回天しなかったということである。まさに隠れて忘れさられている綺羅星なのだ。久光あっての幕末史であり、また久光なくして幕末は語ることができないはずである。特に文久期以降、元治期前半までの中央政局は、久光の存在を抜きにして、その多くを描き出すことは叶わないのだ」と述べていますが、全く同感です。
この本は、文久期の幕末政治史を主な研究対象にしている著者の初めての著書である点でも注目です。
最後は、宮地正人・伊藤克司・小林丈広・多田敏捷・宮川禎一『新選組の論じ方‐新選組史料フォーラムから‐』(新選組史料フォーラム実行委員会、2009年)。
この書籍は、2004年に東京都日野市で開催された「新選組史料フォーラム」の各報告者が、そのときの口述記録を手を加え、あるいは全面的に書き下ろした論考で構成されています。
個人的に一番面白かったのは、宮地正人氏の「新選組の論じ方」という論考。その構成は、「はじめに」、「一、新選組の影の担い手山崎丞」、「二、新選組の研究課題」、「三、剣術遣いの群をどうおさえるか」、「四、東国勤王派論」、「おわりに」となっています。宮地氏が著書『歴史のなかの新選組』(岩波書店、2004年)で取り上げられなかった問題点を含め、新選組を歴史学の研究対象として扱う上での様々な論点が提示された論考です。
そのほか、伊藤克司「水野弥太郎親分と新選組・赤報隊」も読み応えがあり、本書の中でもっとも多くのページ数が割かれている論考です。
この書籍は一般書店では販売しておらず、山口県のマツノ書店でのみ取り扱っています。もちろん、ネット上での購入も可能です。
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コメント
親分って…なんだろう…?
投稿: BlogPetの内蔵太 | 2009年2月 9日 (月) 13時50分
久しぶりの復活ですね。
この間、寂しい思いをしておりました。
また更新を楽しみにしております。
投稿: 桐野 | 2009年2月10日 (火) 20時02分
パルティアホースカラーさん、ご無沙汰しております。
この間、更新がなかったものですから、心配しておりました。
拙著をご紹介いただき、ありがとうございました。
本来は謹呈すべきところを、機を失し、すいませんでした。
今回ご紹介いただいた中で『幕末維新埼玉人物列伝』はまったく初耳でした。
ぜひ手にとってみたいものです。
投稿: 町田明広 | 2009年2月11日 (水) 10時19分
>桐野様
大変ご無沙汰しております。
昨年は自分の仕事環境と私生活において、
大幅な変化があった関係で、
以前に比べてブログの更新に割ける時間が少なくなってしまいました。
今までどおりの更新頻度は難しいかと思われますが、
定期的に更新をしていきたいと思っております。
>町田明広様
同じく、ご無沙汰しております。
以前に著書の出版計画をお聞きして、
刊行されるのを楽しみにしておりましたので、
ついに刊行されて嬉しかったです。
以前と同様の更新頻度は難しいかもしれませんが、
せめて良質な情報をお届けできるよう、
精進する所存です。
投稿: パルティアホースカラー | 2009年2月12日 (木) 23時11分
パルティアホースカラーさん、お久しぶりです。小林哲也です。ひさびさの「幕末情報」本当に嬉しいです。
これからも応援しております!!
投稿: 小林 哲也 | 2009年3月11日 (水) 10時38分
>小林 哲也さん
お久しぶりです。
コメント、どうもありがとうございます!!
今後もできる限り頑張っていきますので、
よろしくお願いいたします。
投稿: パルティアホースカラー | 2009年3月13日 (金) 18時55分