『ウルトラマンレオ』第38話「決闘!レオ兄弟対ウルトラ兄弟」と第39話「レオ兄弟 ウルトラ兄弟 勝利の時」におけるウルトラマンキングの言動については、以前から疑問を持っていました。今回は、それを自分なりに解釈してみました。
『ウルトラマンレオ』第38・39話は、こんなストーリーです。暗黒宇宙の支配者を自称するババルウ星人がウルトラマンレオの弟アストラに化けて、M78星雲ウルトラの星の軌道を司るウルトラキーを盗み出し、地球とウルトラの星を衝突させようと企みます。レオもウルトラ兄弟も、ウルトラキーを盗んだアストラがババルウ星人の変身であることに気付かず、ウルトラキーを取り戻そうとするウルトラ兄弟と、弟を庇うレオが対立してしまうのです。
ウルトラ兄弟の光線を受けてレオは倒れ、そこにウルトラマンキングが登場。洗礼光線でニセアストラの正体を暴きます。本物のアストラはババルウ星人によって宇宙の彼方で氷付けにされていて、そのアストラをレオが救い、レオによってババルウ星人が倒され、アストラによってウルトラキーも無事にウルトラの星に戻ったことで、事態は解決します。そして、活躍したレオとアストラは、ウルトラマンキングの提言によって「ウルトラ兄弟」の一員として認められたのです。
以上が、『ウルトラマンレオ』第38話・39話の、ごく大まかなストーリーです。私が問題にしたいのは、ニセアストラの正体を暴いた際のウルトラマンキングの行動。キングは、ニセアストラの正体を暴いただけでなく、同時にウルトラキーを折ったのです。ウルトラキーはウルトラの星の軌道をコントロールする大切なもの。それが盗まれたことによってウルトラの星と地球が衝突するかもしれない事態になったわけです。
最終的に、レオとアストラのウルトラダブルスパークという復元光線によってウルトラキーは修復され、ウルトラの星と地球の激突は回避されました。しかし、キングは何故ウルトラキーを折ってしまったのでしょうか。ウルトラキーがなければウルトラの星と地球は激突してしまうわけで、一見するとキングは事態をさらに面倒なものにしているようにも見えます。これが、私の以前からの疑問です。キングは何故ウルトラキーを折ったのか。
それに、レオとアストラにウルトラキーを修復する能力があるのならば、ウルトラ兄弟にも同様の能力があったのではないでしょうか。もしもウルトラ兄弟にはレオ兄弟のような能力がなかったとしても、奇跡の力を持つ伝説の超人・ウルトラマンキングならウルトラキーを復元できたのではないでしょうか。レオやアストラにできてキングにできないとは、納得できない気持ちがあったのです。
もちろん、キングにもできないことはあります。アストラの左足にはめられた鎖(マグマ星人に付けられた捕虜の証)は、キングの力をもってしても外せなかったそうです。しかし、レオ兄弟にもできるキー復元は、やはりキングにもできると思うのです。にもかかわらず、ウルトラ兄弟もキングも、ウルトラキーを修復していません。キングがウルトラキーを折った意図、それに壊れたウルトラキーを直さなかった理由を、いくつか考えてみました。
理由1:ウルトラ兄弟の安全を確保するため
ウルトラキーは、ウルトラの星の軌道を司る機能を有しているだけでなく、光線銃としての使い道もあります。その威力は絶大で、ウルトラセブンがまだ小さかった頃、ウルトラの父がウルトラキーを使って悪魔の星デモス一等星を破壊したそうです。
そんな強力な武器を持っているのがババルウ星人(ニセアストラ)で、しかも銃口がウルトラ兄弟に向けられた状況を見たキングは、さしあたってのウルトラ兄弟の安全を確保するためにも、やむを得ずウルトラキーを破壊したのではないでしょうか。ただし、キングにはウルトラキーを直す能力があると思います。
理由2:ウルトラ兄弟に冷静さを取り戻させるため
ウルトラ兄弟はウルトラキーを盗んだニセアストラに対して激しく怒っており、初代ウルトラマンに至っては「俺たちはアストラを殺す」とまで明言している状態でした。常に冷静沈着なはずの初代ウルトラマンがそこまで激昂するとは、まさに自分を見失っている状態ではないでしょうか。
その様子を見たキングは、もしかしたらウルトラキーをウルトラ兄弟に託すわけにいかないと考えたのかもしれません。光の勇者ウルトラマンが、憎しみによって我を忘れている事態を、キングは好ましいと思わなかったのでしょう。キングは冷静さを失ったウルトラ兄弟に怒っていて、それでウルトラキーを折ったのかもしれません。ただし、私はキングにはウルトラキーを修復する能力があると見ていますので、何も考えなしに一時の感情でキーを折ったわけではないと思います。
理由3:レオ兄弟への試練
ゾフィーはウルトラキーを折ったキングに対して「なぜウルトラキーを?」と尋ね、キングは「キーなど問題ではない。お前たちは愚かしくもウルトラ兄弟7番目の弟になるやもしれぬレオを、殺すところであったではないか」と答えます。
上記のキングの言葉から、キングはレオの将来に強い期待を抱いているのがわかります。もしかすると、今回の事件を利用して、レオとアストラをウルトラ兄弟入りさせるためのテストにしようとしたのかもしれません。だから、あえてウルトラキーを折って、自分で直せるにも関わらず自分で直さず、レオとアストラに何とかさせようとしたのではないかと思うのです。
キングはニセアストラの正体を暴いた後、ババルウ星人を倒そうとしたウルトラ兄弟を止めて、「ババルウ星人など、いつでも倒せる」と言っています。これも、レオとアストラにすべてやらせてみようとの考えからの発言ではないでしょうか。いわば、レオ兄弟に試練を課したのです。もちろん、レオ兄弟が事態を解決させられなかった場合は、さすがに地球とウルトラの星の衝突を防ぐため、キングはウルトラキーを直したと思います。
理由4:ウルトラ兄弟への試練
キングはババルウ星人を追おうとしたウルトラ兄弟を止め、ウルトラの星に帰って星の軌道修正に努力するよう指示しました。ウルトラ兄弟はキングの指示を受け、ババルウ星人が生きていてウルトラキーも折れている状況なのに、ウルトラの星に帰りました。
私は以前から、「レオとアストラにウルトラキーを直せるなら、ウルトラ兄弟にだって同じような能力があるのではないか」と思っていました。しかし、ウルトラ兄弟はそんな能力を見せることなく、まだ事件が解決していない状況で、ウルトラの星に帰りました。1つには、「理由3」で述べたキングからレオ兄弟への試練を察したからだと思います。
もう1つ、ウルトラ兄弟はキングから自分たちへも試練が課されたことを感じたのではないかと思っています。ウルトラ兄弟にウルトラキー修復の能力があるとすれば、折れたキーを自分たちで直して、それをウルトラの星に持って帰れば事態は解決します。しかし問題は、キーが折れていることではなく、簡単にキーが盗まれてしまったことと、キーがなければ星の軌道が安定しないウルトラの星のシステムだったのではないでしょうか。
そもそも、ニセアストラにウルトラキーを盗まれなければ何も問題はなかったのです。ウルトラキーはウルトラの星のウルトラタワーという施設内にありますが、いかにババルウ星人がアストラに化けていたとは言え、星の軌道を司るキーを盗まれてしまうとは、セキュリティーに根本的な問題があったのは間違いないでしょう。
おまけに、ウルトラキーがなければ、ウルトラの星の軌道をコントロールすることが完全に不可能というのは、ウルトラの星の安全性の見地から、やはり問題があると思います。今回はウルトラキーを盗んだ犯人が地球にいることが判明していましたが、もしも犯人の居場所がわからなかったら…。
今回はウルトラキーを直せば、ウルトラの星と地球の衝突は回避できます。しかし、また同じようなことがあったとき、犯人の居場所がわからず、ウルトラキーなしで星の軌道を安定させる技術もなければ、そのときこそウルトラの星の最後です。
キングは、ウルトラキーを直すだけでその場凌ぎの対応に終わることを恐れ、将来のことまで見据えてウルトラキーなしで星の軌道を変える努力をするよう、ウルトラ兄弟に指示したのではないでしょうか。いわばそれは、ウルトラ兄弟への試練です。
以上4つの理由のどれか、あるいは上記すべての理由の複合によって、ウルトラマンキングはウルトラキーを折り、さらに自ら修復することもしなかったのだと、とりあえず考えています。
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