« 2008年6月 | トップページ | 2008年8月 »

2008年7月30日 (水)

大政奉還後の高田藩の動向

上越教育大学社会科教育学会が発行している『上越社会研究』第16号(2001年)に、長部薫「大政奉還後の高田藩の動向-榊原家文書を中心に-」という論文が掲載されています。それを、最近読みました。

高田藩とは、徳川四天王と称された榊原家が藩主を務めていた譜代藩です。その高田藩を素材に、上越市立高田図書館所蔵の「榊原家文書」などを駆使して、いまだ十分に進展していない「旧体制」側の動向を考察して、幕末維新史研究の進展に寄与しようと試みたものです。

その論文によれば、徳川慶喜が朝敵とされてからの高田藩は、「哀訴諫争」を藩の方針としていたとのこと。つまり、朝廷に対しては徳川家の存続を願う「哀訴」、徳川慶喜に対しては朝廷への謝罪を促す「諫争」を方針として時局に対応していたそうです。徳川家の存続のため、朝廷と旧幕府の衝突を回避する戦争防止を目指したと言い換えることもできるでしょう。

ただ、この方針は、藩内に様々な考えを持った人間がいることに配慮して決まったものなので、会津藩などから文句を言われた場合、あるいは朝廷に文句を言われた場合にどのように対応するのか、そのあたりの態度が曖昧だったようです。そういったこともあって、朝廷から疑念を抱かれ、その払拭に苦心していたとのこと。

さらに、古屋佐久左衛門や今井信郎らの衝鋒隊が高田領内を通行したときには、高田藩が朝敵になりかねないと藩主以下が危機感を抱いたようです。衝鋒隊は表向き旧幕府によって組織されたものであるとの認識から、衝鋒隊と交戦することは徳川家に弓を引く行為になるとの認識が高田藩内に根強く、だからと言って朝廷との戦いも辞さない覚悟の衝鋒隊を全面的に支援しては朝敵になってしまうかもしれないとの危険性を、高田藩では感じていたようです。そのため、高田藩は衝鋒隊に対して、朝廷にも旧幕府にも等しく奉公すべきだという論理で説得を試みたそうです。

最終的に高田藩は、衝鋒隊を追討することになって、朝廷からの疑念を払拭することに成功するものの、衝鋒隊の領内通行を一旦は認めてしまった責任を取る形で北越戦争を先鋒として戦うことを強いられ、鳥羽・伏見の戦い以来の戦争回避の方針が挫折することになってしまったそうです。

幕末維新期の高田藩に関する研究は少ないと思いますし、私自身もあまり詳しく知らなかったので、長部薫氏の論文の内容は色々と興味深く、勉強になりました。

もしよろしければ、下記をクリックしてください。
人気blogランキングへ

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年7月26日 (土)

ディズニー映画『カントリー・ベアーズ』

2002年7月26日、『カントリー・ベアーズ』というディズニー映画が公開されました。日本では2003年4月26日に公開された作品です。大ヒットした『パイレーツ・オブ・カリビアン』と同様、ディズニーランドの人気アトラクションを実写映画化した作品です。

モチーフとなったアトラクションは、1971年にウォルト・ディズニー・ワールドに作られた、「カントリーベア・ジャンボリー」。日本では、東京ディズニーランドの「カントリーベア・シアター」として知られているアトラクションです(東京ディズニーランドが開園した1983年当初はアメリカのパークと同様、「カントリーベア・ジャンボリー」でしたが、1990年に「シアター」に変更されたようです)。

で、その映画ですが、私が初めて見たのは今年の3月。もっと以前から観てみようとは思っておりましたが、近所のレンタルビデオ店に置いていなかったこともあって、延び延びになっておりました。感想としては、なかなか面白かった、観て良かったというのが正直なところです。

観る前に色々な評判を目にしておりましたが、確かに映画の雰囲気は、アトラクションの雰囲気とは別物な感じがあります。映画に登場するクマたちも、物凄く可愛らしく個性的なのですが、アトラクションとは雰囲気の異なるキャラクターが多かったような気がします。特にトリキシーあたりは、かなり違うという意見も強いようですね。

その点でマイナス点をつける人も多いようですが、最初から別物として割り切って観れば、かなり面白く、笑える部分も多い映画だと感じました。私は笑える部分が多い映画を高く評価する傾向が強いので、あくまで個人的な感想に過ぎません。しかし、私と似通った感性をお持ちの方なら、十分楽しめる映画だと思います。

惜しむらくは、『カントリー・ベアーズ』という映画が、同じくディズニーランドのアトラクションを映画化した『パイレーツ・オブ・カリビアン』、『ホーンテッド・マンション』に比べて、知名度が低そうなこと。個人的にはなかなか面白いと感じたので、映画の存在を知っている人が少ないというのは勿体ないことだと感じています。何と言っても、ディズニーランドのアトラクションを映画化する企画の、記念すべき第1弾なんですよ。

映画の世界観は、人間と、人間のように話すクマたちが共存している世界のようです。クマたちが人間世界に馴染んでいるのですが、少なくとも劇中に登場したクマたちは人間たちに比べて数が少ないようだったので、なかなか複雑な世界観だなと感じました。劇中のセリフから察するに、話すパンダもいる世界のようですし。

物語の中核は、人間のバリントン家で暮らす11歳のベアリー(クマの子供)が、家族が容姿と異なることに疑問を抱き、自分が養子であることを知り、本当の家族を探すために家出するというところから始まります。そしてベアリーは、伝説かつ憧れの”カントリーベアーズ”が活躍していたカントリーベア・ホールにやってきて、ベアーズ解散で寂れたホールが、数日後に取り壊される現実を知ります。

ホールを救おうとするベアリーは、ベアーズの元マネージャーでホールを管理していたヘンリーを説得し、ベアーズのメンバー(テッド、フレッド、テネシー、ゼブ、トリキシー)を再結集させてバンドを再結成し、コンサートで稼いだお金でホールの取り壊しを阻止することを提案するのです。ベアリーとヘンリーはベアーズの元メンバーを探す旅に出て、ビッグ・アルがホールに残ってコンサート開催の準備をします。ベアリーは旅の過程で、たとえ自分が養子であったとしても、バリントン家が自分の本当の家族であることを知るのです。

そして、ベアリーの努力によって、カントリーベアーズは再結成。ベアリーも新たなメンバーとしてバンドに加わります。カントリーベアホールはベアーズ再結成を知った人々で埋まり、ホールの取り壊しは阻止されたのでした。大体、そんな感じのストーリーでしょうか。ストーリーはかなりベタではありますが、歌の部分が非常に楽しい作品です。個人的にはアルの親しみやすいキャラクターと、ベアリーを探す2人の警察官の面白さも楽しかったです。

もしよろしければ、下記をクリックしてください。
人気blogランキングへ

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年7月17日 (木)

『モンスターズ・インク』の寿司屋

ディズニー/ピクサー映画『モンスターズ・インク』では、物語の主たる舞台が人間世界ではなく、モンスターたちが暮らすモンスター・シティ。その街で、モンスターたちは果たしてどのような生活を営んでいるのか、映画で描写されている部分だけでは全貌がつかめません。それだけに、行けるものなら是非行ってみたい架空の街の1つです。

そのモンスター・シティには寿司屋があるということはわかっています。その名も「ハリーハウゼン」。映画の中では、マイクとセリアがその店でデートをする場面が描かれています。日本人としては、なかなか気になる店です。何せ寿司屋ですから。

その寿司屋「ハリーハウゼン」の板前は、タコ型モンスター。頭に巻いているハチマキには、何と「志」と書かれていて、遊び心満載です。8本の腕(足と呼ぶべきか?)に包丁を持ち、華麗な職人技を披露していますが、よく見ると、実は物凄いことになっているそうです。『モンスターズ・インク』のピート・ドクター監督が、劇場公開時のパンフレットの中で、次のように語っています。

「ハリーハウゼン」の寿司シェフの8本の腕を持っているタコが8つのことを同時にやっているんだけど、間違って自分の腕を切っちゃって、それが寿司の一部になって誰かの寿司になっちゃってるの、気づいたかな?

その言葉を受けて『モンスターズ・インク』のDVDを見直してみると、確かに自分の腕を切っちゃっているように見える瞬間もあります。少なくとも私は、8本の腕(足)があまりに速く動くので、なかなかはっきりとはわからないのですが。

それ以前に、そのタコさんは腕(足)の1本に包帯が巻かれています。自分を切ってしまうという失敗を、たまにやってしまうお方なのかもしれません。モンスターシティに行けるなら、「ハリーハウゼン」には是非行ってみたいものの、板前さんの身体の一部を食べるのは勘弁願いたいですね。…それ以前に、寿司を作るための材料が不明ですが。マグロとか存在する世界なのでしょうか。気になります。

ちなみに「ハリーハウゼン」という店名は、モデル・アニメーションの第一人者であるレイ・ハリーハウゼンへのオマージュだそうです。

もしよろしければ、下記をクリックしてください。
人気blogランキングへ

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年7月11日 (金)

幕末洋学教育史研究

坂本保富『幕末洋学教育史研究‐土佐藩「徳弘家資料」による実態分析‐』(高知市民図書館、2004年)という本があります。主役は、幕末土佐藩の西洋砲術家である徳弘孝蔵です。徳弘には坂本龍馬や武市瑞山、それに岡田以蔵など有名な志士たちが入門しています。

実は、私は『幕末洋学教育史研究』をまだ読んでおりません。しかし、竹中暉雄氏が『教育学研究』第72巻第3号(2005年)に本書の紹介文を載せていますし、坂本保富氏の論文は以前にいくつか読んだことがありますので、それらをもとに『幕末洋学教育史研究』を簡単に紹介してみたいと思います。

『幕末洋学教育史研究』は、高知市民図書館が所蔵している「徳弘家資料」581点を駆使して、下曽根信敦(金三郎。高島秋帆の弟子)から免許皆伝を受けた徳弘が、どのような教育を土佐の人々に施し、その教育にどんな特徴があったのかを分析した本だそうです。

また、徳弘の門人563名について、氏名・身分・住所・入門年・学習開始日・入門年齢・取得免許・取得年などを記した一覧表が付されているとのこと。それは大変便利なことでしょう。『幕末洋学教育史研究』はページ数にしても602ページで、それだけでも大変な労作であることがわかります。ただ、竹中暉雄氏によれば、先行研究の扱い方に問題点があるとのことです。

本書と関連がありそうなところで、著者の坂本保富氏にはほかに、以下のような論文もあります。

・坂本保富「『東洋道徳・西洋芸術』における教育認識の構造と特質‐象山における西洋理解との関連において‐」(『東京教育大学教育学研究集録』第16号、1976年)
・坂本保富「門人帳資料『訂正 及門録』からみた象山塾の入門者‐幕末期における『東洋道徳・西洋芸術』の教育的展開‐」(『日本歴史』第506号、1990年)

ちなみに、竹中暉雄氏の本書紹介文は、コチラで読むことができます。
(国立情報学研究所のCiNii論文情報ナビゲータより)

もしよろしければ、下記をクリックしてください。
人気blogランキングへ

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年7月 9日 (水)

『パイレーツ・オブ・カリビアン 呪われた海賊たち』 5周年

ディズニー映画『パイレーツ・オブ・カリビアン 呪われた海賊たち』は、今のところ第3作目まで公開されている「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズの第1作目。『カントリー・ベアーズ』(2002年)に続く、ディズニーランドのアトラクション実写映画化作品の1つです。同種の映画としては他に、『ホーンテッド・マンション』(2003年)があります。

『カントリー・ベアーズ』や『ホーンテッド・マンション』と違って、『パイレーツ・オブ・カリビアン 呪われた海賊たち』は続編が2つも作られていることからしても、その人気が分かろうというものです。それどころか、元々はディズニーランドのアトラクションをモチーフに映画化したわけですが、「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズがあまりに人気だったため、逆にアトラクションが映画の人気を受けて改変されることになったほど。

その大人気の「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズの記念すべき1作目『呪われた海賊たち』が全米で公開されたのは、2003年の7月9日(ただし、日本での公開は8/2です)。つまり、本日は『パイレーツ・オブ・カリビアン 呪われた海賊たち』の公開5周年というわけです。

今回は、オーランド・ブルームが演じたウィル・ターナーでもなく、ジョニー・デップが演じたジャック・スパロウでもなく、キーラ・ナイトレイが演じたエリザベス・スワンでもなく、ジェフリー・ラッシュが演じたバルボッサでもなく、第1作目にしか登場していない何人かの人物に注目してみましょう。シリーズが3作もあると、1作目から3作目までずっと出ている人や、2作目で初登場して3作目まで出ていた人などが目立ちますが、印象的なのに1作目にしか出ていない登場人物もいます。

もっとも代表的なところでは、アナマリアでしょうか。自分で喋れないのでオウムに喋ってもらっているコットンなどと同じく、物語の途中でジャックに同行し、ブラックパール号に乗る強気な女性。1作目では結構画面に映っていた印象がありますが、2作目以降にはお姿が見当たらず。どこに行ってしまったのか、劇中で特に説明がないので謎です。

あと、ウィルが働いていたポートロイヤルの鍛冶屋の、親父さん。彼は、ウィルとジャックが戦っている間、ずっと寝ていたかと思いきや、ジャックを背後から襲って気絶させ、英国海軍に引き渡すという印象的な活躍を見せます。彼はその後、登場することはありませんでしたが、あの世界で元気に暮らしているのでしょうか。ほんの少しだけ、気になります。

まぁ他にも、1作目にしか出ていない登場人物はいることでしょうが、私が特に印象に残っている、と言うより、その後どうしているのか気になるのが上記の2人。ともあれ、せっかく『パイレーツ・オブ・カリビアン』の1作目が公開5周年を迎えましたので、1作目にしか出てこなかった人物に思いを馳せるのも、悪くはないでしょう。

もしよろしければ、下記をクリックしてください。
人気blogランキングへ

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年7月 7日 (月)

ディズニー・ヴィランズの重要性

私はアメリカのディズニー・テーマパークに行ったことはありませんが、方々で聞いた話によれば、日本のパークに比べてディズニー・ヴィランズ、要するにディズニーの悪役たちに遭遇できる機会は多いのだとか。それはかなり羨ましい世界であります。

ディズニーの長編映画には、全部というわけではありませんが物語上の悪役が登場することが多いです。有名なところでは、『白雪姫』における魔女(王妃)、『ピーター・パン』におけるフック船長、『シンデレラ』におけるトレメイン夫人、『眠れる森の美女』におけるマレフィセント、『101匹わんちゃん』におけるクルエラ、『リトル・マーメイド』におけるアースラ、『アラジン』におけるジャファー、『ライオン・キング』におけるスカーなどなどが挙げられるかと思います。

これらの悪役には、純粋に悪いことをしていて憎たらしい役回りのキャラクターもいれば、悪いことをしていながらも憎めない性格に描かれているキャラクターや、単純に悪者としての面だけではなく人間的な悩みを描かれているキャラクターもいて、その性格は一口に悪役と言っても十人十色です。しかし、魅力的な悪役が多いのもまた事実。

ディズニー映画に悪役が多いということは、時としてその悪役のキャラクター設定・劇中での描かれ方が、主役キャラクター以上に映画の面白さの決め手になる可能性があります。言い換えれば、悪役に魅力があるかないかが、映画を面白くするかしないかの基準になってくる場合もないとは言い切れないと思うのです。

ディズニー映画『アラジン』において、悪役ジャファーの声を演じたジョナサン・フリーマンは、ディズニー映画における悪役の重要性について、以下のように語っています。『アラジン』日本公開時のパンフレットから、青文字で引用します。

子供の頃から、すごく惹かれるキャラクターといえば、ディズニーの悪党たちだった。奴らのスケールの大きさや、何としても諦めない性格がとても魅力的だったんだ。偉大なディズニー映画を活気づけるガソリンみたいな存在なんだね。

特に、「ディズニー映画を活気づけるガソリンみたいな存在」という部分に同感です。しかし、その割に日本のディズニー・テーマパークでは、ディズニー・ヴィランズに会える機会が少ないような気がしていました。せめてハロウィン・イベントの期間ぐらい、パーク中をヴィランズが席巻するぐらいにできないものかと常々願っているのですが、なかなかそうは問屋が卸さないのが現状です。

シンデレラ城・ミステリーツアーがなくなってしまったことも、手痛いところです。ホーンド・キング(映画『コルドロン』の悪役で、ミステリー・ツアーの最後に出てくる悪役)のお姿を拝みたい人は、これからどこに行けば…。

先ほど挙げたキャラクター以外、要するにちょっと知名度が落ちそうなところでも、『ヘラクレス』のハデスとか、『ノートルダムの鐘』のフロローとか、魅力的な悪役はたくさんいると思います。短編映画出身のキャラクターでもピートとかビッグ・バッド・ウルフとか。彼らが脚光を浴びる機会がもう少し増えてくれたら嬉しいなぁというのが、個人的な願望です。

<関連記事>
ヴィランズ大集合のペッパーライスクラッカー

もしよろしければ、下記をクリックしてください。
人気blogランキングへ

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2008年6月 | トップページ | 2008年8月 »