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2008年6月29日 (日)

『バンビ』を130回以上見た手塚治虫

漫画家の手塚治虫氏が、ディズニーのアニメーション作品に興味を持っていたことはよく知られています。数あるディズニー・アニメーションの中でも手塚氏が大好きだったのが、『バンビ』(1942年)。有名な話ですよね。

手塚プロダクション編集『手塚治虫全史‐その素顔と業績‐』(秋田書店、1998年)という書籍には、1965年に発表された手塚氏の文章が再録されていて、そこで『バンビ』を何度も見た話が語られています。それによると手塚氏は、朝から晩まで映画館に居続けるほど『バンビ』が好きだったようで、そのときの様子を次のように語っています。

おなかがへってもあんパンをかじり、夜になると、すぐ横のガードの下にある木賃宿にとまって、ひと晩じゅうシラミにかまれながら、あくる朝、また映画館へとびこみました。全部で何回見たかおぼえていませんが、130回は見たと思います。
(『手塚治虫全史‐その素顔と業績‐』180ページ)

私は1つの長編映画を130回も見たことはありません。手塚氏の場合、ビデオやDVDで見たというわけではなく、映画館に通って130回見たわけですから、映画館が入れ替え制ではなかったことを差し引いても、凄いなぁと思う気持ち大です。なかなか時間の都合をつけるのが難しいですが、自分の好きなものにのめり込む姿勢は手塚氏のようでありたいと思います。あくまで個人的にですが。

また、同じ本には1981年に手塚氏が語った文章も再録されていて、そこで手塚氏はウォルト・ディズニーのことを、「生涯の心の師」であり、「私のディズニーへの思い入れは、私の絵を見ていただければ、それでもう今さら述べる必要もない」と言っています。そして、その文章の末尾では、次のような言葉を述べています。

今の子ども達がディズニー映画よりも際物的なテレビアニメの主人公に歓声をあげる傾向を思い浮かべて情けなく、やり切れない思いにかられるのである。
(『手塚治虫全史‐その素顔と業績‐』180ページ)

私は1981年前後にどのようなテレビアニメが放送されていたのか詳しく存じ上げていませんので、手塚氏が「際物」と断じているのがどのような作品なのはわかりません。しかし少なくとも手塚氏にとって、上記のような嘆きを語るぐらい、ウォルト・ディズニーは偉大な存在だったのでしょう。

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