私は1980年代の前半の生まれです。1980年から1981年にかけてTVで放送していた『ウルトラマン80』は、私が生まれたときにはすでに終わっていました。その後、国産ウルトラのTVシリーズが放送されたのは、よく知られているように、1996年の『ウルトラマンティガ』でした。
私が幼少期を過ごしたのは、まさに『ウルトラマン80』と『ウルトラマンティガ』の空白期にあたる期間です。通常なら、ウルトラマンに興味を持つことすらないまま育ってしまっても、おかしくない時代に生まれ育ったと言えると思います。実際、私と同年代の友人には、ウルトラマン好きがほとんどいません。しかし、私はウルトラマンが大好きです。それは何故なのか、そして、1980年代に生まれたということが、私のウルトラマンに対するスタンスにどんな影響を与えているのか、お話しようと思います。
私の場合、父親がウルトラマンに興味を持っている人だったというのが、まずは要因として大きいようです。そのため、幼少の頃にTVでリアルタイムに放送しているウルトラマンはなかったわけですが、父の影響でよくウルトラマンやゴジラ、あるいは仮面ライダーのビデオをレンタルしていました。それがまず、私が他の1980年代生まれと違ってウルトラマンに興味を持つ契機になったと思います。
リアルタイムで放送しているTVシリーズはなかったと言いましたが、30分番組ではなく10分間の帯番組、しかもウルトラシリーズの番外編もOKということであれば、実は放送している番組がありました。ウルトラシリーズの番外編と言うべき帯番組『アンドロメロス』です(1983年の放送)。
この番組にはウルトラマンは登場しませんが、メカバルタンやマグマ星人といったウルトラシリーズゆかりのキャラクターが登場していますし、アンドロメロスはウルトラ兄弟の長男・ゾフィーとも親しい間柄だそうなので、ウルトラシリーズの仲間と呼んで差し支えないでしょう。ただし、私はまだ小さかったためか、『アンドロメロス』を見ていた記憶はありません。ちょっと残念です。
同時に、やはり幼少時代に見てはいないのですが、『アンドロメロス』と同じぐらいに公開されていた2本の映画の存在は特筆しておくべきでしょう。1つは1983年の『ウルトラマンZOFFY』、もう1つは1984年の『ウルトラマン物語(ストーリー)』です。
どちらもウルトラ兄弟の活躍を前面に押し出した映画で、前者は我らがゾフィー兄さんがウルトラ兄弟の活躍を紹介してくれる作品で、「帰ってきたウルトラマン」が初めて「ウルトラマンジャック」と劇中で呼称された作品でもあります。また、後者はウルトラマンタロウを主役に据え、タロウの成長を描いた作品。
私は上記2つの映画を幼少時代に映画館に見に行ってはいないのですが、それら2つの作品があったこともあってか、1980年代~1990年代前半の『てれびくん』などの幼年雑誌には、いつも「ウルトラ兄弟」の特集が掲載されていたと記憶しています。つまり、TV放送がなくても、『てれびくん』などの雑誌を親に買ってもらっていた1980年代の子供たちの中には、ウルトラ兄弟の活躍をTVで見たことはなくても、知識としてはよく知っていた子供たちがいたのです。私もその1人。
つまり、子供時代の私にとっては、「ウルトラ兄弟」というのは、自分たちが生まれる前に大活躍していたらしい伝説の存在でした。しかし、そんな伝説の存在の活躍を見ることができるのはビデオと再放送だけという時代が長く続いていました。リアルタイムでウルトラ兄弟の活躍を見ることができない状態で、ウルトラマンという存在は海外に向けて展開し始めます。
例えば、1987年にアメリカでTV放送され、日本では1989年に劇場公開されたアニメ作品『ウルトラマンUSA』。オーストラリアでTV放送され、日本では1990年にビデオで発売された『ウルトラマングレート』(後に日本のTVでも放送)。アメリカでTV放送され、日本では1993年にビデオで発売された『ウルトラマンパワード』(後に日本のTVでも放送)。
『ウルトラマン80』と『ウルトラマンティガ』の狭間の時代に子供時代を過ごし、ウルトラ兄弟を伝説の存在として認識していた私が直面した新作ウルトラが、これらの海外製作作品でした。アニメ作品やビデオ発売の作品であっても、私はそれらの作品を心から楽しみました。再放送ではない、昔の作品を収録したビデオでもない、私が生まれる前には存在していなかった「新しいウルトラマン」だったからです。ただ、それらの作品の特徴として、ウルトラマンの出身地はM78星雲ではあるものの、ウルトラ兄弟の設定が使われていないことは特徴的でした。
そして、ついに復活した国産ウルトラの『ウルトラマンティガ』において、ティガはM78星雲出身ですらなくなっていました。続く『ウルトラマンダイナ』や『ウルトラマンガイア』も同様です。それもあって、この時期のウルトラシリーズを見ていなかった人も少なくないと聞きます。しかし、私にとっては初めての「新しい国産ウルトラTVシリーズ」です。いくらウルトラ兄弟が私にとって伝説の存在でも、見ないわけにはいきません。そして見ると、M78星雲やウルトラ兄弟が関係なくても、問題なく面白いです。結果的に考えれば、平成三部作はM78星雲と関係ない物語・設定にしたおかげで、ウルトラマンの可能性の幅が広がったと思うので、私としては大成功だったと思っています。
そして今でもウルトラマンへの興味は尽きないわけですが、振り返ってみると私は、子供の頃にウルトラ兄弟の知識を仕入れて彼らを伝説のヒーローと認識し、その後に海外製作のウルトラマン、実写ではないアニメのウルトラマン、そしてM78星雲が全く関係ないウルトラマンの活躍をリアルタイムで楽しんで大人になりました。
どれも楽しめ、嫌いなウルトラマンや興味のないウルトラマンは一切存在しない、言い換えればウルトラマンは全部好きな私は、「ウルトラ兄弟が出ていなければ嫌だ」とか、「平成の作品は面白いけど昭和はダサい」といった偏見・食わず嫌いからは免れることができたように思います。その点から言えば、1980年代に生まれ育ったことは得でした。あらゆるウルトラマンを受け入れることのできる時代に生まれ育ったのだと思います。
ところが、その分、「コイツが『俺たちのウルトラマン』だ!!」と胸を張って言えるウルトラヒーローに事欠くような気がします。私が幼少の頃、初めて登場した新しいウルトラマンは、『ウルトラマンUSA』のウルトラマンスコット、ウルトラマンチャック、ウルトラウーマンベスでした。そして続いて、ウルトラマングレートです。私はその時代に子供時代を過ごしたので物凄く思い入れがあるヒーローたちですが、一般的にはどうでしょうか。
「ウルトラセブンが一番好き」とか、「ウルトラマンレオが子供の頃のヒーロー」とか、「昔、ウルトラマンコスモスになりたいと思っていた」という類の人なら、たくさんいるような気がします。ですが、ウルトラマンスコットやウルトラマングレートに深い思い入れを抱いている人は、そんなに多くはないでしょう。少なくとも、それらのヒーローの活躍を幼少期~小学生の頃ぐらいに楽しんでいた人は、そんなに多くはないと思うのです。
『ウルトラマンメビウス&ウルトラ兄弟』のような映画を、スコット、チャック、ベス、グレート、パワードあたりを登場させて製作し、新ウルトラマンの目の前にスコットやグレートが現われても、狂喜乱舞する人はさほど多くはないでしょう。1980年代に生まれ育ったおかげで、どんなウルトラマンでも食わず嫌いせずに受け入れられるようにはなりましたが、その代わり、一抹の寂しさを感じる部分もあります。
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