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2007年1月 3日 (水)

2006年にこのブログで言及・紹介した新選組関連文献リスト-新年の挨拶を兼ねて-

新年の挨拶がかなり遅れてしまいましたが、明けましておめでとうございます。このブログを恒常的に閲覧してくださっている方がどれぐらいいるのか存じておりませんが、今年もご愛顧いただければ幸いです。よろしくお願いいたします。

新年のご挨拶はこのぐらいにして…。私は、大学時代に歴史学の分野で卒業論文を書きました。歴史学の卒業論文を書く上で、まず重要になってくることが2つあります。それは、「史料集め、および集めた史料を読むこと」と「先行研究探し・研究史の整理」です。歴史研究における史料の重要性は言うまでもないことなので、ここでは「先行研究探し・研究史の整理」について述べます。

「先行研究探し・研究史の整理」が重要なのは、何も歴史学に限ったことではなく、どの学問でも同様に重要です。自分の研究対象が、今までどのように研究されてきたのか、その状況を把握する作業です。つまり、自分がこれから行う研究(卒業論文執筆は研究の一環です)が、従来の研究史においてどのような位置にあるのか、それを明確にする作業が必要になってくるのです。その作業を怠ると、卒業論文も減点されてしまうことでしょう。

例えば、本能寺の変について研究する場合、立花京子氏・藤田達生氏・桐野作人氏などの研究をしっかり抑えておかなければ、それだけで卒業論文の評価は下がるでしょう。慶応三年政治史を研究するのであれば、井上勲『王政復古』(中公新書、1991年)は必読文献ですし、幕末の会津藩を研究する場合、家近良樹『幕末政治と倒幕運動』(吉川弘文館、1995年)は必読文献です。要するに、まだ誰も研究していない分野はともかく、すでに誰かの研究がある分野については、必ず最低限の必読文献と見なされているものが存在します。それを把握せずに卒業論文を書くと、「先行研究探し・研究史の整理」を怠ったものと認識されて、卒業論文の評価が下がると思うのです。

そのように、自分の経験を踏まえて先行研究探しを重要だと思っている私は、たまには文献リストのような記事でも書いてみようかと思いました。昨年書いた記事の中で言及した、新選組関連の文献をピックアップしてみたいと思います。新選組をテーマにして卒業論文を書きたい学生のお役ぐらいには立つかもしれません。ただし、ここで挙げる文献は、あくまで私がこのブログの昨年の記事で触れた文献だけです。新選組を研究する上で重要な文献は、ほかにもたくさんあります。そこだけ注意していただければ幸いです。

・秋葉一男「近世末期における地方豪農の動向について-武蔵国大里郡甲山村根岸友山の場合-」(『地方史研究』第21巻第2号、1971年)
・家近良樹『幕末政治と倒幕運動』(吉川弘文館、1995年)
・家近良樹『孝明天皇と「一会桑」』(文春新書、2002年)
・家近良樹「書評 宮地正人著『歴史のなかの新選組』」(『日本史研究』513号、2005年)
・石川潔「新撰組出身の伝道者・結城無二三への検証」(『明治学院大学キリスト教研究所紀要』37号、2005年)
・岩上進『幕末武州の青年群像』(さきたま出版会、1991年)
・鵜飼政志「尊王攘夷思想と新撰組」(『歴史読本』第49巻第3号、2004年)
・大石学編『新選組情報館』(教育出版、2004年)
・大石学『新選組』(中公新書、2004年)
・小川和也「書評 宮地正人著『歴史のなかの新選組』」(『人民の歴史学』161号、2004年)
・小佐野淳「新徴組 その知られざる実像」(『歴史読本』第49巻第3号、2004年)
・小高旭之『埼玉の浪士たち-「浪士組」始末記-』(埼玉新聞社、2004年)
・小高旭之「浪士組の実像―清河らの通説を検証」(『歴史読本』第49巻第12号、2004年)
・小高旭之「池田徳太郎の素顔―浪士組もう一人のリーダー」(『歴史読本』第49巻第12号、2004年)
・菊地明編『土方歳三、沖田総司全書簡集』(新人物往来社、1995年)
・桐野作人「『大久保大和守』名乗りの真相」(『歴史読本』第49巻第3号、2004年)
・桐野作人「龍馬遭難事件の新視角-海援隊士・佐々木多門書状の再検討- 第1回・第2回・最終回」(『歴史読本』第51巻第10号・第51巻第11号・第51巻第12号、2006年)
・小泉雅弘「伊東甲子太郎-深川の道場主から新選組幹部へ-」(『下町文化』第227号、2004年)
・後藤致人「『孝明新政府』における新選組の位置」(『歴史読本』第49巻第3号、2004年)
・小西四郎「坂本龍馬とその時代」(『別冊歴史読本-坂本龍馬の謎-』新人物往来社、1985年)
・小山松勝一郎『清河八郎』(新人物往来社、1974年)
・小山松勝一郎『新徴組』(国書刊行会、1976年)
・笹部昌利「書評 宮地正人著『歴史のなかの新選組』」(『歴史評論』665号、2005年)
・子母沢寛『新選組始末記』(万里閣書房、1928年)
・子母沢寛『新選組遺聞』(万里閣書房、1929年)
・子母沢寛『新選組物語』(鱒書房、1955年)
・白石烈「諸藩周旋方と新選組」(『歴史読本』第49巻第3号、2004年)
・白石烈「文献紹介 大石学編著『新撰組情報館』・同著『新撰組‐「最後の武士」の実像』」(『人民の歴史学』164号、2005年)
・新人物往来社編『続新選組史料集』(新人物往来社、2006年)
・高木不二「新刊の情報と紹介 宮地正人著『歴史のなかの新選組』」(『歴史と地理』580号、2004年)
・田口英爾『最後の箱館奉行』(新潮選書、1995年)
・田崎公司「新選組と河内国御厨村の断想‐京都守護職会津藩知行地を中心として‐」(『大阪商業大学商業史博物館紀要』第5号、2004年)
・綱淵謙錠編『松平容保のすべて』(新人物往来社、1984年)
・鶴巻孝雄「多摩にもたらされた新選組情報」(『歴史読本』第49巻第3号、2004年)
・鶴巻孝雄「新選組情報を読む-<士道>の虚構、<政治>の実態-」(町田市立自由民権資料館編『民権ブックス18 豪農たちの見た新選組』町田市教育委員会、2005年)
・中村武生「新選組研究の回顧と展望」(『歴史読本』第49巻第3号、2004年)
・中村武生「古高俊太郎考―八・一八政変から池田屋事件に至る政局の一齣―」(『明治維新史研究』第1号、2004年)
・奈良本辰也「維新史の中の新選組」(『奈良本辰也選集2 維新に生きる』思文閣出版、1982年)
・沼田哲「武蔵の豪農と尊攘思想-大里郡甲山村根岸友山の場合-」(『季刊日本思想史』第13号、1980年)
・根岸友憲「根岸友山と根岸武香」(『立正大学地域研究センター年報』第22号、1998年)
・根岸友憲監修『根岸友山・武香の軌跡』(さきたま出版会、2006年)
・野口武彦『幕府歩兵隊』(中公新書、2002年)
・野口武彦『新選組の遠景』(集英社、2004年)
・野本禎司「書評 大石学著『新選組‐「最後の武士」の実像』」(『史海』52号、2005年)
・原口清「禁門の変の一考察(一)(二)」(『名城商学』第46巻第2号・第46巻第3号、1996年)
・平尾道雄『新撰組史』(1928年)
・平尾道雄『新撰組史録』(育英書院、1942年。新人物往来社、2003年)
・深谷克己『江戸時代の身分願望』(吉川弘文館、2006年)
・福永弘之「新選組と兵庫」(『神戸文化短期大学研究紀要』29号、2005年)
・前田愛「草奔の悲劇・根岸友山」(『前田愛著作集』第4巻、筑摩書房、1989年)
・町田明広「池田屋事変における吉田稔麿について」(『霊山歴史館紀要』16号、2003年)
・松浦玲『暗殺‐明治維新の思想と行動‐』(徳間書店、1966年)
・松浦玲「民間『浪士』と維新期の『改革』」(『環』13号、2003年)
・松浦玲『新選組』(岩波新書、2003年)
・松浦玲「書評と紹介 宮地正人著『歴史のなかの新選組』」(『日本歴史』688号、2005年)
・三野行徳「浪士組時代」(大石学編『新選組情報館』教育出版、2004年)
・三野行徳「坂本竜馬と幕府浪士取立計画―杉浦梅潭文庫『浪士一件』の紹介を兼ねて」(『歴史読本』第49巻第7号、2004年)
・宮川禎一「史料が語る新選組」(『歴史読本』第49巻第3号、2004年)
・三宅紹宣「吉田稔麿の政治思想」(『史学研究』第247号、2005年)
・宮地正人『歴史のなかの新選組』(岩波書店、2004年)
・薮田貫「内山彦次郎暗殺事件の真相」(『歴史読本』第49巻第3号、2004年)
・吉岡孝『八王子千人同心』(同成社、2002年)
・吉岡孝『江戸のバガボンドたち』(ぶんか社、2003年)
・吉岡孝「幕末の浪人集団と新選組」(『歴史読本』第49巻第3号、2004年)
・吉岡孝「新選組井上源三郎と八王子千人同心」(『歴史書通信』No.152、2004年)
・吉岡孝「新選組隊規の背景―条目に秘められた浪人集団からの脱却」(『歴史読本』第49巻第12号、2004年)
・吉岡孝「大石学編『新選組情報館』」(『関東近世史研究』第58号、2005年)
・林原純生「昭和初期の<幕末>物語‐子母沢寛『新選組始末記』の周辺‐」(『神戸大学文学部紀要』第27号、2000年)
・林原純生「『新選組始末記』の位相--昭和初年の大衆と歴史の言説」(『歴史読本』第47巻第2号、2002年)

ちなみに、私が挙げていない文献で重要な文献は、「新選組検証!」さんが紹介している場合も多いので、興味のある方は是非ご覧ください。

<1月13日、追記>
上記リスト中の、野口武彦『新選組の遠景』、吉岡孝『八王子千人同心』、深谷克己『江戸時代の身分願望』の三著について、「新選組検証!」さんブログ「温故知新」のコチラの記事において詳しい内容を紹介しています。これからの新選組研究は如何にあるべきか、新選組研究とアカデミズムの関係などについても鋭い指摘がなされています。興味のある方は、ぜひご覧ください。特に、学術的な観点から新選組を語る意味について考えたことのない人にも、ぜひ読んでいただきたいと思います。

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新選組に多少なりとも興味を持つ人(好きかどうかは問いません)は、日本にどれぐら [続きを読む]

受信: 2007年1月13日 (土) 00時27分

» オススメ~その2 [温故知新]
 去年一年間、当サイトのトップページにて、「買いましょう!キャンペーン」を行って来た。当方が独断で選んだ超絶オススメ書籍を三冊、「ぜひ、購入して読んでね(はあと)」と紹介してきた。  2007年度も、新たに三冊を選んで「買いましょう!キャンペーン2007」を行いたいと思っている。(ただし、ズボラなのでトップページの修正は気が向いたら。)   『新選組の遠景』野口武彦(集英社)   『八王子千人同心』吉岡 孝(同成社)   『江戸時代の身分願望』深谷克己(吉川弘文館) 以上の... [続きを読む]

受信: 2007年1月13日 (土) 21時42分

» 中間層論からみる浪士組と新選組 [つばめ飛ぶ 餌を取りては 子のもとへ]
先日、「新選組にも関連のある、多摩地域・多摩出身者の近代史」という記事において、 [続きを読む]

受信: 2007年1月17日 (水) 21時23分

コメント

どうも、来栖です。

 昨年、鶴巻氏の論文の記事にコメントしようと思いつつ、年末の忙しさに負けてROMになってしまっていたのですが、去年一年で新選組関連論文・書籍をこんなにも取り上げていらしたのですね!圧巻です!
 あらためてパルティアホースカラーさんのこのリストを見ますと、当方が読んでいないものも結構ありますね…。今後はこのリストを参考に、読んでいない論文等を国会図書館等でチェックしていきたいところです。

 しかし、卒論を新選組で書くというのも、結構大変なんじゃないかと思いますね。新選組そのものの軌跡を書いても、歴史学的にはあまり意味が無いと思えますし、卒論となると、新選組と他の何かの関係を論じたり、あるいは社会学的視点などが必要となるでしょうね。

 個人的に最近興味あるのは、新選組という組織の出現やその在り方が封建制と相反するものであるのに、新選組自体は幕府という封建制の存続を前提にした政府の維持をしようとしたという矛盾ですね。こちらのブログでも紹介された吉岡孝氏や深谷克己氏の著書においても指摘されているこの矛盾。この矛盾を突付くのが非常に面白いと思ってます。新選組という古風なイメージの集団の意外な前衛部分とその反動・葛藤というのが、人間性を伴って伝わって来るわけです。それでいて、加藤陽子氏がどこかで書いていたように「近世と近代が一つの集団の中で一直線で繋がる」醍醐味が新選組にはあるわけで、卒論を新選組で書くのなら、この辺りを攻めたらどう?と思いますね。

投稿 来栖ムツキ | 2007年1月 4日 (木) 22時36分

>来栖ムツキさん

コメント、どうもありがとうございます。
タイトルをチラッと紹介しただけの文献も多いですが、自分でも結構多いなぁと感じるほど、いつの間にかたくさんの新選組関連文献を紹介していました。
私も調べるだけ調べて読んでいないものが多いので、少しずつでも読んでいこうと思っています。もちろん、今年も面白そうな文献を新たに見つけることができれば、それも随時紹介していこうと思っています。

新選組を卒論で取り上げるのは、私も簡単ではないと思います。ミーハー感覚のような安易な気持ちで新選組をテーマに選ぶと、担当の先生からかなりのダメ出しを食らうのではないかと思います。

来栖ムツキさんがおっしゃる意味での新選組という組織の矛盾は、私も面白いと思います。「近世と近代が一つの集団の中で一直線で繋がる」ような矛盾を内包していた組織が存在していたという事実が、非常に興味深いです。「新選組という古風なイメージの集団の意外な前衛部分とその反動・葛藤」を、史料や先行研究を駆使して描けたら、かなり面白い卒論になるだろうなと思います。

投稿 パルティアホースカラー | 2007年1月 5日 (金) 10時03分

パルティが研究があるのかー♪

投稿 BlogPetの内蔵太 | 2007年1月 6日 (土) 13時04分

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