『日本史文献事典』
黒田日出男・加藤友康・保谷徹・加藤陽子編『日本史文献事典』(弘文堂、2003年)という本を紹介します。私はこの本を所持しているわけではなく、立ち読みしただけですので、あまり詳しく語ることはできないのですが。
ともあれ、この事典は、日本史のあらゆる時代・あらゆる分野を研究する上で必読となるような基本文献あるいは重要文献の数々を解説している本です。紹介されている文献は、学術書、一般向けの体裁の新書や文庫、通史、伝記、著作集、論文など幅広く、しかも1600ページを超える大著なので、紹介されている文献の数も半端ではありません。しかも、この事典のユニークなところは、紹介されている著作の解説を、それぞれの著作の著者自身が行っていることです。
例えば、私の興味・関心に合致する著作としては、以下のようなものが紹介されていました。いずれも、幕末維新期前後の政治史を研究する上では必読とも言える文献です。私も、お金さえあれば全部買いたい重要著作ばかりです。
青山忠正『明治維新と国家形成』(吉川弘文館、2000年)
家近良樹『幕末政治と倒幕運動』(吉川弘文館、1995年)
井上勲『王政復古』(中公新書、1991年)
井上勝生『幕末維新政治史の研究』(塙書房、1994年)
岩下哲典『幕末日本の情報活動』(雄山閣出版、2001年)
岩田みゆき『幕末の情報と社会変革』(吉川弘文館、2001年)
小野正雄『幕藩権力解体過程の研究』(校倉書房、1993年)
佐々木克『大久保利通と明治維新』(吉川弘文館、1998年)
佐々木克『志士と官僚』(講談社学術文庫、2000年)
田中彰『明治維新政治史研究』(青木書店、1963年)
田中彰『幕末維新史の研究』(吉川弘文館、1996年)
尾藤正英『江戸時代とはなにか』(岩波書店、1993年)
藤田覚『近世政治史と天皇』(吉川弘文館、1999年)
松浦玲『明治の海舟とアジア』(岩波書店、1987年)
松本三之介『天皇制国家と政治思想』(未来社、1969年)
三上一夫『公武合体論の研究』(御茶の水書房、1979年)
三谷博『明治維新とナショナリズム』(山川出版社、1997年)
三宅紹宣『幕末・維新期長州藩の政治構造』(校倉書房、1993年)
宮地正人『天皇制の政治史的研究』(校倉書房、1981年)
宮地正人『幕末維新期の文化と情報』(名著刊行会、1994年)
宮地正人『幕末維新期の社会的政治史研究』(岩波書店、1999年)
毛利敏彦『明治維新政治史序説』(未来社、1967年)
吉田昌彦『幕末における「王」と「覇者」』(ぺりかん社、1997年)
以上の著作は、それぞれの著作の著者自身が解説を行っています。つまり、例えば青山忠正『明治維新と国家形成』の解説は、青山忠正氏自身が担当されています。しかしながら、著者がすでに亡くなっているなど、何らかの理由で著者自身が解説を行えない文献については、他の執筆者が解説を行っています。もちろん、すでに亡くなられた研究者も優れた研究を残しているので、それらについても大量に紹介されています。例えば、以下のようなものがあります。
飛鳥井雅道『天皇と近代日本精神史』(三一書房、1989年)
網野善彦『異形の王権』(平凡社ライブラリー、1993年)
石井孝『日本開国史』(吉川弘文館、1972年)
石尾芳久『日本近世法の研究』(木鐸社、1975年)
井上清『日本現代史Ⅰ 明治維新』(東京大学出版会、1951年)
大久保利謙『日本近代史学事始め』(岩波新書、1996年)
尾佐竹猛『日本憲政史大綱』上下巻(日本評論社、1938~39年)
芝原拓自『明治維新の権力基盤』(御茶の水書房、1965年)
遠山茂樹『明治維新』(岩波全書、1951年)
平尾道雄『子爵谷干城伝』(富山房、1935年)
丸山真男『日本の思想』(岩波新書、1961年)
三上参次『尊皇論発達史』(富山房、1941年)
以上の著書は、著者がすでに亡くなっているなどの理由で、著者以外の執筆者が解説を担当している著作です。このように、何らかの理由で著者自身が解説を行えない場合以外は、基本的に著者自らが自身の著作について解説を行っているのが、『日本史文献事典』の最大の魅力であり、最もユニークな特徴です。
私がここで挙げた著作については、私の興味関心にしたがって、限られた立ち読みの時間でチェックしたものだけです。もっともっと各時代・各分野の色々な研究が、『日本史文献事典』で紹介されています。自分の興味ある事柄について如何なる文献があるのか、知りたいときなどに役立ちます。戦前の研究から最新の研究まで網羅しているのも魅力です。
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コメント
うひゃあああ!こんな本があったのですね!全然、知りませんでした。パルティアホースカラーさんが書き出したリストを見ただけでクラクラしました。これは本当に、もう唸るくらいに必読文献ばっかりですね。
著者自身の解説と言うのも、実に興味をそそられます。う~ん、図書館にないかなぁ~。図書館にあったらいいなあ~。ということで、ちょっと図書館探索してみます。
投稿 来栖ムツキ | 2005年12月10日 (土) 11時12分
>来栖ムツキさん
コメント、ありがとうございます。
私も、この本の存在を知ったのはつい最近です。初めて見たときは、「おお、こんな便利で、しかも興味深い本があったのか!!」という感じでした。
著者自身の解説というのも、ほかの本ではなかなかないことなので、面白いですよね。
図書館にあるかどうかは微妙なところですよね。図書館になかった場合、もしも私のように立ち読みでもよろしければ、池袋のジュンク堂書店に行けばあると思います。また、ネットで検索してみたところ、新宿の紀伊国屋書店にも在庫があるようですよ。
投稿 パルティアホースカラー | 2005年12月10日 (土) 15時31分